企業と顧客の新しい関係づくり

企業が顧客に情報を伝えるために活用するメディア。顧客が視聴するメディアが大きく変化しています。

NHK放送文化研究所が実施した「国民生活時間調査」によると、若者を中心にテレビ離れがさらに進み、ビデオやインターネットの利用が広がっているそうです。新聞の購読者1997年をピークに年々減少しています。テレビ・新聞といったマスメディアの視聴が減少する中で、企業はどんな媒体を使って情報発信し、顧客と関係を作っていけばいいのでしょうか。

『顧客視点の企業戦略』 藤崎実・徳力基彦 著/宣伝会議/ 2,100 円+税/ 2017 年3 月1 日発行

 

今年3月に発行された『顧客視点の企業戦略』では企業と顧客との新しい関係づくりが提案されています。顧客を『消費者』 としてだけではなく『企業のパートナー』と考え、顧客に商品開発や販促にも参加していただけるような、企業と顧客との関係。背景として、 SNSが普及し、企業からの情報を受け取るだけだった個人顧客が、自ら情報発信・拡散ができるようになったことが上げられています。SNSの普及前は、企業に対する個人の意見が広く知れ渡ることはありませんでした。しかし、2014年に起こった、焼きそばペヤングの異物混入ツイートによる数十億円の損害 事件など企業に対する個人の発言が大きな影響を及ぼす時代になりました。 個人の影響力を踏まえ、企業を積極的に応援しクチコミしてくれるような顧客(アンバサダー)を増やすための方法や企業の事例が本には掲載されています。有名な『ネスカフェアンバサダー』の事例もありました。ネスレ日本は、 コーヒーマシン『バリスタ』 の売り込みではなく、人が交 流を持つキッカケづくりとしての『バリスタ体験』の普及を目指し、アンバサダーを募集。ネスレ日本の社長やスタッフは、全国のアンバサダーに直接会って意見を求め、より良い商品・サービス・CMづくりに生かしているそうです。顧客との関係づくりにお悩みの方がヒントを得るために読んでも参考になる部分が多いと思います。